玉子焼き

子供のお弁当を作ることになって気づいたのが玉子焼きの偉大さだった。

一品あるだけでお弁当の枠組みがしっかりする。他の具が多少ショボくでも格好がつくしタンパク質を手軽に取れるのは素晴らしい。

 

というわけで玉子焼きを練習することにした。恥ずかしながら僕はこれまで玉子焼きを作る機会がなかった。あの「寄せる→ひっくりかえす→寄せる」の繰り返しの不可解さや、最初は混ぜて最後に包むんだよ!等のアドバイスもよく意味がわからなかったからだ。

 

深夜、皆が寝静まった台所で一人で玉子焼きを作っていると、これはなかなか悪くないぞと思った。どことなく春樹風ではないか?

しかし第一作目はひどいものだった。見た目はカステラをおもいっきり押しつぶしたような扁平で、味はだしが効きすぎて舌が痺れる。ふわふわ感などみじんもない。こんなの息子は一瞥をくれるだけでフォークすら刺さないだろうと僕は思った。

その玉子焼き(らしきもの)を目の前に呆然としていたら、授乳用の乳搾りに起きてきた妻が見かねてお手本を作ってくれた。

かき混ぜる、端に寄せる。最後に包む。なるほどなるほどこういうことか!!膝を打つ思いだった。同じ卵からこんなに違うものができるのかというぐらい一口目が違う。

お手本を横において二回目にチャレンジする。思った形に成形しつつふわふわにするというのはなかなか手際が必要になる。一作目よりはましになったが、まだまだ差は歴然としていた。しかししょうがない。これをお弁当に入れることにした。

(もしかしたら妻がこっそり入れ替えるかもしれないが)

深夜の料理特訓は今日も続きそうだ。